先日の「節分」にて、ウチのお寺では「鬼は~外っ!」という掛け声はしないと言いました。
何故かというと・・・
ウチのお寺では「鬼子母神(きしもじん)」という、かつて鬼だった守護神様をお祀りしているからです。
そのため、「鬼は外」という掛け声はしないのです。
さて、「鬼子母神」とはいったいどんな守護神なのでしょう?
鬼子母神は多くの子供を産み、育てていました。その数は500人、1000人とも。
自分の子供だけを溺愛し、巷に出ては人間の子供をさらって食べてしまっていたのです。
お釈迦様はこの悪事を憂いて、鬼子母神が最も愛していた末子を隠してしまいました。
鬼子母神は嘆き悲しみ、お釈迦様の元に来て我が子のことを尋ねました。
お釈迦様が「世間の人たちには1人あるいは3人5人しか子供がいない。あなたには多くの子供がいるのですから、1人ぐらい子供がいなくなっても大したことではないでしょう」と告げられたところ、鬼子母神は今まで犯してきた罪に気づき、その罪を償う意味で、「永遠に全ての子供を護ります」とお釈迦様に約束しました。
今日お寺でお祀りされている尊像には「天女形」と「鬼形」があります。
先記の誓いになぞられ、子供を抱き天女の形をした鬼子母神は、安産・子育ての守護神として信仰されるようになりました。
さらに鬼子母神は、十人の羅刹女と共に法華経の行者や信者を守護するという誓いが、法華経の中に説かれていることから、日蓮宗では他と異なり鬼形(破邪調伏のために憤怒の形相をしている)の鬼子母神をお祀りし、日蓮宗の祈祷本尊(鬼形鬼子母大善神)として広く信仰されています。
